独り言つらつらと。
2015.12.11 Friday
私が古着を好きな理由は沢山あります。古着の良さは数知れず、一点もの、流行に乗らない、今には無いデザイン、優れた耐久性、経年変化による新たなデザイン、自由さ、そしてエコであるということ。
最後のエコと云うのは他の古着店を営む方々とは違う視点かもしれません。昔の服のデザインが好きで、結果古着だったという"ヴィンテージ好き"では無いからです。単純にエコである古着というものが好きなのです。
安価なファストファッションが流行する背景を考えたことはありますか?ダウンやレザーはかつては高級品だったはず。それがどんどん価格が落ちて手が届く様になりました。天然素材であるはずの綿。綿100%のシャツが980円で売られる時代、天然素材の原価がそんなに安い?
私は大型衣料品店の低価格は企業努力だとは思っていません。下請けの下請けとか、必ずどこかにその皺寄せが行っていると考えます。
例えば発展途上国に工場を持ち、安価な人件費と過酷な労働条件での製造。例えばコットンが沢山収穫できるように遺伝子組換え操作、遺伝子組み換えについては栽培農家や近隣への副作用がもろに出ていると言います。例えばレザーの靴や鞄のためだけに動物たちが飼育されてはいないだろうか。皮も羽毛も動物の命をいただいた後の副産物であるべきで、それゆえ高級なものは高級であるべきだと思っています。
自然界に逆らうような流れは世界の中の一片かもしれませんし、それどころの話では無いのかもしれませんが存在はしています。
服や鞄、更には身の回りのものを買うときにルートを一つ一つ調べるのは無理なこと。だからこそ、ただ安いから買っておこうという感覚で消費をするのはあまりに愛がない行為だと思うのです。
私は昔の人の生き方を尊敬しています。無駄がなく、ものを大切にする姿勢。遥か昔は自然界の流れと人間の消費もリンクしていたはず。食として命をいただいた動物の皮をかばんに利用して、羽根は防寒に良いからジャケットにして、、、と。今より人間も自然界の一部として生きていられたような気がするのです。
もちろん私だって安く買えることは嬉しいし、必要に迫られて安価なものを買う時も多々あります。完璧に地球にやさしくなれるのなんて程遠いのが現状です。
でも衣服のみならず、何も考えずにただ消費するのはやっぱりしたくない。目の前にあるものだけでなく、もっと広い視野を持って気にかけて生きたいと思うのです。
それでもやっぱり服は好きで、お洒落をするのは心が豊かになります。古着を選ぶ理由がここにあります。
*普段こういう思想めいたことはごく一部の場所でしか話さないのですが、最近たまたま話す機会があり『知らなかった』『考えてもみなかった』という声を聞いたのでイチ古着店店主の思うことをつらつらと。職業柄多分かなり視点が偏っているのも事実ですので悪しからず。長い文章をご覧頂きありがとうございます。ぺこり。
週末の皆さまのご来店お待ちしております。